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制作にかかわった方々

PEOPLE INVOLVED IN PRODUCTION

推定樹齢800年 頼朝杉 「源頼朝公像」 に込めた想い

令和の頼朝像という心持で「源頼朝公像」の制作に臨みました。お像は頼朝公の「神性」の表現を心がけました。一般的に杉は彫刻には向かないといわれております。しかし、推定樹齢800年の頼朝杉は年輪も細かく、非常に風格を感じる木で、彫りにくさは感じられませんでした。10年前に倒木した木が、新たに「源頼朝公像」として命を甦らせることは非常に意義のあることであり、そのお手伝いができたことが大きな喜びです。ご覧いただく方には、源頼朝公像を通して全ての人に内在している無限の可能性を感じ取っていただき、ご自身の人生を大事にしていただけると造像の本来の意味があるのではないかと思います。

江里 康慧

えり こうけい

彫刻家・仏師平安佛所代表。仏師松久朋琳師・宗琳師に入門。独立後、父・宗平とともに仏像制作に専念。これまでに全国各地の寺院に納めた仏像は約1,000体。三千院や大本山瀧光徳寺から大仏師号を賜っている。京都府文化功労賞受賞。財団法人仏教伝道協会より仏教伝道文化賞受賞。著書に『仏師という生き方』(廣済堂出版)など。

江里仏師へのインタビュー

伊豆の風景を描いた截金の厨子制作にあたって

源頼朝公像と同じ頼朝杉を用いた、春日厨子に施された截金を担当いたしました。おおよそ800年の時を生きた木の大変きれいな木目、美しい木肌の色を損なうことなく、より引き立てる截金を意識して制作いたしました。截金には伊豆に配流された頼朝公が、14歳から挙兵するまでの20年間を過ごした伊豆の地で800年前に眺めたであろう伊豆の山並、対岸を遠景にみる富士山で表現しております。源頼朝公像と頼朝公を「源頼朝」たらしめた背景を感じていただければと思います。

江里 朋子

えり ともこ

截金師・平安佛所。仏師・江里康慧と截金(きりかね)の人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された江里佐代子夫妻の長女。京都芸術短期大学(現:京都芸術大学)日本画専攻。卒業後、母に截金を習う。日本工芸会新人賞受賞。西部伝統工芸展で截金飾筥「碧梁」が九州朝日放送賞受賞。日本工芸会正会員認定。伝統工芸諸工芸展日本工芸会賞受賞。京都府文化賞奨励賞受賞。

仏師/江里康慧先生 截金師/江里朋子先生 特別親子インタビュー

「源頼朝公像」 装束考証・協力

装束司は装束を調進する立場ですが、今回の源頼朝公像では四方八方から装束を表現なさるということで協力いたしました。装束をつくるとき同様、昔の決まり事やならわしである有職故実に則り当時のままということを念頭におくということ、また、江里先生は現存している過去の木像にリスペクトをしておいでですので、そのコンセプトを取り入れることを基本としました。格調高い装束に身を包まれていることも相まって、威厳を保ち、崇高なイメージも感じ取れるお姿となっております。この機会に源頼朝公像と共に装束文化にも理解が深まることを願っております。

黒田 幸也

くろだ ゆきや

装束司。黒田装束店代表取締役。装束司として19代目の当主を承継。有識故実に則った装束を調進する傍ら、京都芸術大学非常勤講師など装束文化の普及に努める。現在、伝統服飾工芸協同組合・代表幹事をはじめ、京都神紙調度装束協同組合・専務理事、一般財団法人伝統文化保存協会・評議員。

黒田装束店による頼朝公像装束解説