厨子について
ABOUT ZUSHI
伊豆の風景を描いた 截金の厨子
江里仏師がお像の制作に向け、時代考証を進める中でひとつの想いが生まれました。「幼少期から坂東武者の荒波にもまれ、数奇な生涯を送られた頼朝公の中に『神性』を込め、神像としての源頼朝公像を作り上げたい。そうすると、お像のみではなく、頼朝公の生き様の世界観を表現するために、お像を安置する厨子(ずし)がどうしても必要ではないか?」その想いを受け、厨子の制作が決定しました。厨子とは収納具の一種であり、身の回りのものを収める厨子の他、仏像、仏舎利、教典、位牌などを中に安置するための仏具としての厨子もあります。
厨子に施された、お像を美しく引き立てる裁金のデザインは、裁金の人間国宝・江里佐代子さんの技術を受け継ぐ江里朋子さんにご担当いただきました。裁金とは、数枚焼き合わせた金箔を竹刀(ちくとう)で極細の線状に切り、それらを筆先で張りながら文様を描き出すという、独特の技術を要する伝統技法。2022(令和4)年春、朋子さんは江里仏師と共に伊豆・蛭ヶ小島を取材され、頼朝公がどのような思いで伊豆の山々、富士山を眺めたのか思いをはせながら構成を練られました。
裁金細工の厨子の背景に広がる 頼朝の世界観
お像と同じ頼朝杉で制作された厨子の正面と両脇の扉の内側には、伊豆に流された頼朝が妻・政子と共に韮山(にらやま)から眺めたであろう伊豆の風景が裁金(きりかね)細工で描かれています。さらに下手扉内側には、頼朝がいずれ成し遂げる「天下治平」への大願成就を心に秘めて眺めたであろう、富士山がプラチナの裁金で細工されています。厨子内部にしつらえた照明灯により、これらの截金細工が見事な輝きを放ち、坐像の頼朝公が生涯を賭けた「挙兵~天下治平」の世界観が広がります。
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