将軍や貴族たちも感服した美しい桜

千本ゑんま堂の普賢象桜

せんぼんえんまどうのふげんぞうざくら

HISTORY

謂れ(いわれ)

船岡山の刑場の麓に植えられた、千本ゑんま堂が発祥の桜です。樹齢は不明ですが、古くから名木として知られ、これまでに何度か植え継がれているようです。
「普賢象」という名前は、葉化した2本のめしべの先端が曲がっていて、その状態が普賢菩薩が乗っている象の鼻に似ていることが由来とされています。また、花冠のままぼとりと落ちる珍しい品種で、この散り様が斬首される囚人の姿に似ていたことから、中世の所司代がこの花を囚人に見せて、信仰心を持たせるのに使っていたともいわれています。
室町時代には、多くの親王・貴族などがこの桜を見ようと寺を訪れた、という記録が残っています。
また、応永15年(1408)に、後小松天皇が将軍の足利義満から北山殿に招かれた際に、ふと引接寺(千本ゑんま堂)に立ち寄り、寺の僧から一枝の桜を渡されます。その桜があまりにも美しかったため、義満に桜を見に行くように勧めました。後に参詣に来た義満も、境内のこの桜に心を奪われ、「これからは、桜の盛りを期して狂言をとり行うべし」と伝え、米50石を与えたといいます。その下賜米は、江戸期まで続けられたのだそうです。

写真:kim65/PIXTA

ACCESS

アクセス

京都市バス「千本鞍馬口」から徒歩約2分。