2024.06.06

特集

夫婦・カップルでいきたい!夫婦円満な名木

銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

特集

全国の名木・御神木の中には、幹が二股に分かれて育ったり、2本並んで生えた木が寄り添っているように見えたり、夫婦の象徴として信仰を集めてきたものが多数あります。その中のいくつかをピックアップしてみました。

美しくも悲しいおかめ物語

千本釈迦堂のおかめ桜

大報恩寺(千本釈迦堂)は、京都市内(京洛)最古の国宝建築物であり、おかめ発祥の地といわれています。

他に千本釈迦堂の開創・義空は、奥州平泉の 藤原秀衡の孫だという伝承も。この枝垂桜が「おかめ桜」と呼ばれるのは「おかめさん」が由来とされています。

本堂創建の際、大工の夫が柱の一本を短く切ってしまい、妻のおかめさんが名案をだして助けました。ところが、女の入れ知恵だと世間に洩れ夫の名声に傷がつくのはまずいと、自害してしまいました。

この美しくも悲しい『おかめ物語』から「おかめ信仰発祥の地」といわれ、夫婦円満や縁結びに御利益があるとされています。

京都府京都市上京区七本松通今出川上ル

源義家が植えたと伝わる長寿の夫婦杉

塩原八幡宮の逆杉

栃木県最大の巨樹で、その名の由来は太い枝が垂れた枝振りからだといわれます。 この杉は、別名「夫婦杉」とも呼ばれ、2株が根元でつながった連理の杉で、西側の杉が雄木、東側の杉が雌木の、「相生(あいおい)」の杉として敬われています。

「あいおい」という音は、「逢生」「相老」とも表記できるので、ともに生を享け、互いが出逢い、ともに老いてゆくという古(いにしえ)の人生観が投影されたのかもしれません。

夫婦の仲が良いことは互いの長生きに繋がるとされていますので、同時に極めて長寿である巨杉が、その象徴として信仰を集めることとなっているのでしょう。

栃木県那須塩原市中塩原

名木伝承データベース / 基本情報

  • 名称:逆杉

  • 樹種:スギ

  • 状態:生存

  • 樹齢:推定1500年以上

  • 樹高:40m

  • 幹周り:雄杉(西側)11.5m・雌杉(東側)8m

  • 保護・指定:国指定天然記念物

  • 所在地:栃木県那須塩原市中塩原11

詳しくはこちら

樹齢約800年の立派な夫婦楠

住吉大社の夫婦楠

鮮やかな朱色が美しい反橋(そりばし)で名高く、関西で一、二を争う初詣スポットとして親しまれている住吉大社。

古くは、摂津国(せっつのくに=大阪府北西部と兵庫県南東部を占める旧国名)の中でも、由緒が深く、信仰が篤い神社として、「一之宮」という社格がつけられ、守られてきました。全国約2300社余の住吉神社の総本社でもあります。

こちらには有名な千年楠もありますが、立派なこの夫婦楠は樹齢約800年とされ、樹高約20m、目通り幹周り約7.9m。2本の楠が合体したあたりに祠が祀ってあり、夫婦円満の象徴として親しまれています。

大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89

男女和合のシンボルがある

玉祖(たまのおや)神社のクス

玉祖神社は「河内音頭で有名な河内の中心」八尾市の麓にある古い神社です。和銅3年(710年)周防国の玉祖神社から分霊を勧請したとされ、神社の西の平地一帯には玉作一族の集落や工房があったようです。

玉祖神社の参道の石段の前段をあがった右手の所にある楠は、地上からすぐの所で幹が三つに分かれています。幹周みきまわり約8.5m、樹高約20m以上もあります。

また、この楠の根元は、注連縄が掛かった陽石を包みこんでおり、その姿を男女和合に見立てて、夫婦の揉め事を収めたり、男女の仲を取り持つご利益のある大楠として信仰されています。

大阪府八尾市大字神立443
(八尾市神立5丁目5-93)

叶え石が縁を結ぶ御神木

三輪恵比須神社のケヤキ

日本で最初に開かれた市場、清少納言の『枕草子』にも「いちはつばいち」と出てくる海石榴市(つばいち)に所縁のある三輪恵比須神社は、商売の神様、えべっさん(恵比須様)を祀っており、その境内にあるのが、立派なケヤキの木です。

「願いを込めると叶う」といわれる御神木で、パワースポットになっています。 樹齢約600年で、幹が根元から2つに分かれており、夫婦ケヤキとも言われてきました。

ケヤキの洞の根元にある白い「叶え石」を1つ選び、祈りを込めるようにケヤキに触りながら、特に良縁や安産などのお願い事をした後、社務所でお守り袋を授かります。

奈良県桜井市三輪375

名木伝承データベース / 基本情報

  • 名称:夫婦ケヤキ

  • 樹種:ケヤキ

  • 状態:生存

  • 樹齢:推定600年以上

  • 樹高:25m

  • 幹周り:4.7m

  • 保護・指定:無

  • 所在地:奈良県桜井市三輪375

詳しくはこちら

水の神様の境内にある二股の巨杉

宇太水分(みくまり)神社の夫婦杉

宇太水分神社は、崇神天皇の時代に創建された古社で、延喜式にも記載されており、鎌倉時代に建てられた国宝の本殿は、一間社隅木入春日造の3棟が並び立ち、速秋津比古神、天水分神、国水分神の「水分三座」を祀っています。

境内の杉の巨木は、途中で二股に分かれて成長しており、樹形から夫婦になぞらえ「夫婦杉」と呼ばれています。また根っ子が二股部に突き刺さり、夫婦和合を表わすかのようで、夫婦円満・縁結び、子孫繁栄のご利益があり、おめでたいとされています。

10月第3日曜日の例大祭では、女神がこの木の根元で神輿に乗り、男神に会いに来るそうです。

奈良県宇陀市菟田野古市場245

本記事は、
~日本の名木と伝承を明日に紡ぐ~
銘木総研の広報誌「木魂ッ子」vol.18

にも掲載されています!

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銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

地域の人々によって大切に守られ語り継がれてきた「名木と伝承」にフォーカス。伝承とともに人々の生き方に寄り添ってきた名木が持つ史実やいわれを調査研究し、伝統文化・歴史の継承、名木の利活用につながるご提案とその実践を行っています。

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