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2023.11.14

木とヒト

【木工アーティスト】木のおもちゃ arumitoy/多胡歩未さん

銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

自然と共に生きていくことが、ずっと生きていける方法
「100年後の子どもたちに森をつなげる」というビジョンを掲げ、京都府木津川市で安全と環境にこだわった木のおもちゃと木工作品を数々生み出している多胡歩未(たごあゆみ)さん。企画・デザインから作品の制作、販売までおこなう多胡さんの仕事にかける想いを伺いました。

なぜ日本では珍しい「木のおもちゃ作家」に?

住宅街で育ち、自然にはあまり触れる機会はなかったのですが、潜在的に子どものころから環境に興味があり、自然と共に生きることに惹かれていました。大量生産・合理性に走る時代に生きづらさを感じていて、環境のことを考えない世の中に対してずっと心を痛めていたんです。

「自分でつくったもので子どもたちを喜ばせたい」という想いから木のおもちゃ作家を目指しました。時代と逆行している、と周りからは全く理解されませんでしたが、「自然と共に生きていくことこそがずっと生きていける方法だ」と確信がありました。

当時は、木工のおもちゃのつくり方を習得できる場所が日本になく、本で情報を探し、ドイツ語で電話をかけて修業先を探しました。ドイツでは木工はもちろん生き方や価値観を学べたことが大きかったですね。環境に配慮された生き方に感動し、環境に対する自分の考えが合っていたんだと思えた場所でした。2年半の修業後、自然に囲まれたこの加茂町でarumitoyを開きました。

絵本『たましいのおうちの物語』
ストーリーをつくり、木工作品をつくり、
それを撮影する…完成までに
とても時間がかかった写真絵本

作品のこだわりを教えてください。

一番はオリジナリティがあって自分らしいかどうか、自分の作品として納得しているかどうかですね。わたしにとっておもちゃは、子どもの創造力や可能性を引き出すものであってほしいので、遊び方を特定しない、大人も楽しめるおもちゃをつくっています。

木のおもちゃの魅力はなんだと思いますか?

何代にもわたって使えるのが木のおもちゃです。そして音や触った感じは、木にしか生み出せないものがあります。赤ちゃんは、そこから吸収することもあるから、やはり木という素材を使うことは大事だと思います。

この先どんな活動を?

ずっとおもちゃをつくり続けていましたが、数年前からおもちゃの域から出ないと次のステップには行けないと感じ、絵本や漆塗りの作品など、アートの分野に幅を拡げました。

今までは主に子どもたちに対して木の在り方や環境のことを伝えていましたが、これからは木を切り口にして、より多くの方にいのちのことまで伝えていきたいです。

わたしは、森と人間関係は同じだと思っています。人間関係に悩んだとき、森はどういう風に存在しているのかを考えます。森は様々な動物や植物・環境が共存し、許容されています。大人は絶対に避けて通るぬかるみも、子どもはそれを喜ぶように、誰かが嫌がるものも、他の誰かが必要なもので、存在して良いものなんだと木工を通して伝えたいんです。
森の在り方を勉強したからこそ気づけたことを、作品やイベントを通じて発信していけたらと思います。

グッド・トイ受賞の赤ちゃんのガラガラ動物、クォーター。
ぶた・ひつじ・かえる・きりん がいます。
もちろん、赤ちゃんが舐めても安全です。


多胡歩未(たごあゆみ)さん


木のおもちゃ arumitoy(アルミトイ)代表。
武蔵野美術大学短期大学部を卒業後ドイツで2年半修業を積み、
京都府の加茂町で2004年に「arumitoy」をオープン。
『グッド・トイ賞』ほか、受賞多数。木工歴20年。

木のおもちゃ arumitoy


【住所】〒619-1103 京都府木津川市加茂町岡崎中縄手4-2
【TEL】0774-34-0625
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】日・月・水曜日

【URL】https://arumitoy.net/

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この記事を書いた人

銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

地域の人々によって大切に守られ語り継がれてきた「名木と伝承」にフォーカス。伝承とともに人々の生き方に寄り添ってきた名木が持つ史実やいわれを調査研究し、伝統文化・歴史の継承、名木の利活用につながるご提案とその実践を行っています。

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