2024.01.22
曽大根のサイカチ(奈良県大和高田市)~根本に住む蛇に悪戯をすると天罰が!?
白蛇伝説のある霊木、白龍大明神のサイカチ。
サイカチは本州中南部、四国及び九州に分布するマメ科の落葉樹。幹や枝に鋭い棘があることや、10月頃に鞘の長さ20〜30センチもある大型のマメができることで知られています。
奈良県・大和高田曽大根(そおね)の甘田川に架かる橋のたもとにあるサイカチは県下でも稀にみる老樹。道路をはさんで白龍大明神の社があるので「白龍大明神のサイカチ」とも呼ばれています。
その昔、村人が作物の苗を担いで橋を渡ると、小蛇がおり、篭で除けようとした瞬間、小蛇が大蛇となって襲いかかりました。村人は驚いて家に逃げ帰りましたが、その夜から村人は高熱が出たといいます。
また、ある青年が川の護岸工事の際、サイカチの根を切ったところ、数日後に急死してしまったとか。
他にもこの近辺には「さいかち娘」という民話があります。サイカチの根本に住む蛇に、村人が蛇の好物の卵と手伝ってもらいたい田畑の場所を書いた紙切れを置くと、若い娘が手伝いをするようになりました。
娘はいつも顔を手ぬぐいで隠していたので、男達はその顔をひと目みたいと色々手立てを尽くした末、石の卵を娘の籠に入れます。
すると、石の卵を飲み込んだ娘は、蛇のような恐ろしい形相で男達を追いかけてきました。
男達は命からがら逃げ帰りましたが、特に悪さをした男の一人は、一晩中熱にうなされ、翌朝とうとう亡くなってしまったそうです。
以来、村人たちはこのサイカチを霊木として恐れ、小さな祠に陶器でできた白蛇の置物を祀ったといわれています。
サイカチの鋭い棘は、外敵から自らを守るため。種子は食用にはなりませんが、利尿や痰を切る漢方薬として利用されています。鞘(サヤ)には、エゴノキと同じように「サポニン」という天然の界面活性剤が含まれており、水に浸けると泡立つため、昔はサイカチの煮汁を洗濯石鹸代わりに使っていたそうです。
名木への道MAP
所在地:奈良県大和高田市曽大根574付近
JR和歌山線・大和新庄駅から北東に約1km、徒歩15分
大和高田バイパス東室出交差点・国道165号南200m、曽大根左折750m
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