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2024.01.27

特集

妖怪木々怪々「血桜(チザクラ)」~切ると血のようなものが吹き出る!?

銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

妖怪木々怪々

イラストレーション:田中香名子

桜の儚く幻想的な美しさは時に恐ろしいイメージをも生む

 

 『桜の下には屍体が埋まっている』。小説「檸檬」でお馴染み、梶井基次郎の掌編小説「桜の樹の下には」では、そんな少々グロテスクかつミステリアスな幻想が語られており、それが元で都市伝説にもなっています。

 昔々、福島県・平絹谷の青滝の堤に大蛇が棲みつき、村の灌漑用水を止めてしまったので、ある若者がこの蛇を切り殺し、その死骸を池畔に埋めた。それ以来、その血飛沫のかかった桜はどこを切っても赤い血のようなものが吹き出るようになったので「血桜」という。そんな話もあります。

 また、これに似たような桜の話は全国にあり、岐阜県の伝承では、足利義視と赤坂の長者女蟹氏の局との間に生まれた子を乳母が誤って井戸に落とし殺したので、乳母を斬って井戸に投げ入れ、その井戸を埋めて桜を植えた。その桜には毎年血のような赤い花が咲く。長野県のとある城跡に何人かの武士が生き埋めにされ、供養のために塚を作り桜を植えていた。その後、その桜の木に傷が付くと、血が流れ出たという。等々。

 梶井基次郎が「桜の花が美しすぎて不安になったから」屍体が埋まっていると想像した、と語っているように、桜の儚く幻想的な美しさは、昔から人々の想像力を掻き立ててきたようです。

妖怪と木シリーズ

本記事は、
~日本の名木と伝承を明日に紡ぐ~
銘木総研の広報誌「木魂ッ子」vol.18

にも掲載されています!

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銘木総研 編集部
銘木総研 編集部

地域の人々によって大切に守られ語り継がれてきた「名木と伝承」にフォーカス。伝承とともに人々の生き方に寄り添ってきた名木が持つ史実やいわれを調査研究し、伝統文化・歴史の継承、名木の利活用につながるご提案とその実践を行っています。

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