2023.08.25
「身近なところに名木ストーリーを」銘木総研株式会社 代表取締役 前井宏之
国際特許法務や企業コンサルの会社を経営する前井社長が、なぜ異分野の「樹木」に進出したのか。
銘木総研株式会社 代表取締役 前井社長に、銘木総研の立ち上げから地域活性・日本の自然や日本文化の継承などについて語っていただきました。
目次
日本の自然や文化に触れる
幼い頃は家族で毎週、ハイキングやキャンプに行っていました。釣りをしたり、飯盒炊飯をしたり。父がよく史跡巡りに連れて行ってくれたことを思い出します。全国の神社やお寺、御陵も巡りました。今もお茶を点てたり、ろくろを回したり、日本文化に非常に興味があります。
いつかは「日本の自然」や「日本文化」の分野で役に立つようなことをしたいと思っていました。
設立のきっかけは?
2020年、国の天然記念物であった「頼朝杉」に出会ったことでした。「頼朝杉」には、鎌倉幕府を開いた源頼朝公が天下統一という大願成就を祈念し、静岡県島田市にある千葉山 智満寺に手植えしたという伝承がありました。頼朝杉は、度重なる風雨に耐えかねて2012年に倒木していましたが、仏像やノベルティで有効活用されていたことを知りました。
「これは世界に向けて発信できるコンテンツだ。」そう感じました。
銘木総研の活動内容は?
森林に恵まれた日本には、木にまつわる史実、伝承が多くあります。それは、その時代、地域の人たちの生活に密着したものから派生してきたと思うのです。
銘木総研は、地域に生えた一本の木に着目します。その木や地域の史実、伝承を深く調査研究します。そうした活動で得た情報や新たな発見を、木と共に後世に残すことにより、木を通した地域活性、日本文化の継承に関わっていきます。
能・歌舞伎・文楽・落語・講談などの芸能の分野にも、木の登場する演目が数多く存在しますね。木を通して古典芸能に触れることになれば、ますます日本文化が好きになるでしょう。銘木総研の活動が、日本の自然や文化の魅力を世界に発信することになればうれしいです。
さまざまな物語のある名木をより身近に感じていただきたい、という想いから、名木の関する身に付けるグッズなども製作していきます。持ち物にストーリーがあると素敵ですね。たとえば「これは源頼朝が、大願成就を祈願して植えた杉の木でできたもの」と思えば、愛着もひとしおです。これらを介して、その時代を生きた人々に想いを馳せるのも、楽しいじゃないですか。
人間は生きて100年。全国には100年、200年と地域の人々とともに生きている木がある。500年、1000年と育ってきた尊い木もある。一本の木に込められた地域の方々の想いが形になり、それが多くの人に波及し、共感していただけるようになる。その共感が心を動かし、日常生活に「楽しさのエッセンス」をちょっぴり散りばめられたら、木を通して日本文化への興味や誇り、自然への感謝のような気持ちが生まれてくるのでは、と思うのです。
前井宏之
銘木総研株式会社 代表取締役 / 北浜国際特許事務所 所長 / 北浜グローバル経営株式会社 代表取締役 / 弁理士(特定侵害訴訟代理人)/ 大阪大学大学院 工学研究科修了。特許法律事務所、大学、経営コンサル会社にて「科学技術・イノベーション」「情報通信技術(IT)」「知的財産戦略」に関連する業務に携わった。妻と娘3人の5人家族。
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