2023.09.01
9月1日は防災の日。知っておきたい【名木と防災】
9月1日は防災の日。この日は関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日の台風シーズンを迎える時期にあたり、1959(昭和34)年9月26日の「伊勢湾台風」で戦後最大の被害を受けたことを教訓とし、地震や風水害等に対する心構え等を育成するため創設されました。
目次
楠霊(なんれい)神社のクスノキ/兵庫県
追剝、洪水、空襲から不思議な力で人々を護った
名前の通り、楠を御神木とする兵庫県尼崎市の神社にそびえる名木です。
楠霊神社は阪神電車武庫川駅から徒歩1分のところにある、小ぶりで手入れの行き届いた瀟洒な趣の神社で、人々の憩いの場となっていますが、こぢんまりとした鳥居に比して、立派な楠が一際目を惹きます。
その昔、この地に度々追剥が出没していたので、それを防ぐための結界として楠が祀られた、という伝承があります。
また、武庫川が洪水した際には、この楠に登って難をのがれたという話や、空襲時には、生い茂っている葉が爆弾を退けたという話も残っており、その不思議な力で、長きに渡り地元の人々を護ってきました。
現在も、この楠から落ちた葉は、厄除けの縁起物として地元の人に知られているそうです。
名木伝承データベース / 基本情報
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名称:楠霊神社のクスノキ
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樹種:クスノキ
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状態:生存
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樹齢:推定300年以上
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樹高:20m
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幹周り:5.8m
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保護・指定:尼崎市保護樹木
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所在地:兵庫県尼崎市武庫川町4-2
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四郷神明神社のムクノキ/岐阜県
水害時、人々の命を救う「命塚」。助命壇のムクの木
このムクの木は、神明神社の境内にあり、人々の命を守る助命壇の目印としての役割があります。
助命壇とは洪水の時に住民が避難した場所で、別名「命塚」と呼ばれ、高台になっている場所のことです。 かつて助命壇には大きな木が植えられるのが一般的となっていて、この名木もその内の1つです。
以前、境内には杉やイチョウの大木も茂っていましたが、現在大木といえるのは、このムクの木のみとなりました。
「水害が起こればムクの木に集合」、「神明神社に行けば助かる」、という思いは、輪之内町の人々にとって、心の支えになっていたのでしょう。
水害が少なくなって、目印としての役目がなくなるのは良いことなのでしょうが、これからも町の守り神として、人々を見守っていてほしいですね。
名木伝承データベース / 基本情報
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名称:神明神社の椋
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樹種:ムク
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状態:生存
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樹齢:推定500年以上
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樹高:15m
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幹周り:5m
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保護・指定:輪之内町指定天然記念物
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所在地:岐阜県安八郡輪之内町四郷
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浄福寺のクロガネモチ/京都府
天狗が団扇で火災を消火
京都府の浄福寺の境内にあるこの木は、地域の人々から災難除けの信仰を受けており、そば近くのお堂には「護法大権現」として天狗が祀られています。
その昔、1788(天明8)年に京都で大火事があった際には、鞍馬の天狗がこの木に降り立ち、団扇であおいで大火災の火を消したという伝説があります。
この木は推定樹齢300年と言われており、江戸時代から大きく育ちました。 義経の頃に有名だった鞍馬の天狗の伝説は、江戸時代にもしっかりと残っており、今も脈々と受け継がれているようです。
名木伝承データベース / 基本情報
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名称:浄福寺のクロガネモチ
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樹種:クロガネモチ
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状態:生存
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樹齢:不明
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樹高:9m
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幹周り:3.95m
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保護・指定:無
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所在地:京都府京都市上京区浄福寺通一条上る笹屋町2
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中川の箒杉(ほうきすぎ)/神奈川県
集落を土砂崩れから救う
かつてこの地域は、「宝木沢」と呼ばれ、この木の名の由来も、その集落名が関連しているとも、樹形が箒に似ているからとも言われています。
この関東屈指の巨大な一本杉・箒杉は、明治と昭和の2回、付近を襲った災害から住民を救っています。1904(明治37)年の大火を阻み、1972(昭和47)年におこった丹沢集中豪雨でも、箒杉の上部で発生した土砂崩れをくい止めました。
これらの出来事から、集落の住民からは厚く慕われており、箒杉の根元には集落の守り神として「須賀神社」の祠が祀られています
名木伝承データベース / 基本情報
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名称:箒スギ
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樹種:スギ
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状態:生存
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樹齢:推定2000年以上
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樹高:45m
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幹周り:12m
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保護・指定:国指定天然記念物
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所在地:神奈川県足柄上郡山北町中川
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