2023.08.25
関西の御神木 BEST5
特集
銘木総研では、日本全国の名木・ご神木など、いわれのある1本の木を「名木・伝承データベース」として、調査・研究しています。その中から、編集部目線で関西圏のオススメご神木をピックアップしてみました。ぜひ一度、それぞれのご神木実物のスピリットを感じ、ご利益をあやかりに、プチトリップしてみてください。
目次
京都市東山区 新熊野神社「影向の大樟(ようごうのおおくす)」
後白河上皇御手植の大樟は
神仏が姿を現すという古木
【謂れ】
京都市東山区の新熊野(いまくまの)神社にあり、後白河法皇が植えたクスノキだと伝えられています。
「影向(ようごう)の大樟」とも呼ばれており、この「影向」には、神仏が姿を現す、という意味があります。さらにこの木は、延びた樟の巨枝が、空を飛んでいる龍のように見えることから「龍に乗った弁財天、樟龍弁財天」として信仰されてきたようです。
古木でありながらも、樹勢は今でも極めて旺盛で、市街地に植えられた中では、飛び抜けて巨樹だそうです。現在も成長し続けており、「健康長寿」「病魔退散」を願う人や、特に「お腹の神様」として、ご利益を求める人が後を絶たないそうです。
名木伝承データベース / 基本情報
-
名称:新熊野神社の大樟
-
樹種:クスノキ
-
状態:生存
-
樹齢:推定800年以上
-
樹高:21.9m
-
幹周り:6.58m
-
保護・指定:京都市指定天然記念物
-
所在地:京都府京都市東山区今熊野椥ノ森町42
詳しくはこちら
大阪府門真市 三島神社「薫蓋樟」
公家、左近衛少将千種有文の
和歌にちなんだ巨木
【謂れ】
大阪府門真市の三島(みつしま)神社境内にあるこの名木は、江戸時代後期の公家、左近衛少将千種有文の「薫蓋樟 村雨の雨やどりせし唐土の 松におとらぬ 樟ぞこのくす」という歌から名づけられました。
太い幹から大空に向かって高くそびえ、四方にも立派な枝を拡げたその姿は、門真市の「市の木」、また国指定天然記念物ともなり、集落の中でこれほどの巨樹が生育しているのは非常に珍しいそうです。
この名木からチラリと奥を覗くと、小さな赤い鳥居と境内社が見えます。大正時代、電灯を導入するため枝を切り払おうとしたところ、切ろうとした人が腹痛を起こし、できなかったという言い伝えがあります。
名木伝承データベース / 基本情報
-
名称:薫蓋クス
-
樹種:クスノキ
-
状態:生存
-
樹齢:推定1,000年
-
樹高:約24m
-
幹周り:13.1m
-
保護・指定:国指定天然記念物
-
所在地:大阪府門真市
詳しくはこちら
大阪府八尾市 善光寺「善光寺の大クス」
信濃善光寺と縁の深い
本田義光の杖が大きく育った
【謂れ】
信濃善光寺の御本尊は、廃仏派の物部尾輿が難波の堀に投げ捨てたのを本田善光が救い出し、信濃に持ち帰って祀ったもの。八尾の善光寺は、その善光が信濃に帰る途中、八尾の地に一泊したのが縁で、翌年再度この地を訪れ、寺を建立したと伝えられています。
「善光寺」はどちらのお寺も彼の名前が由来であり、本田善光が再びこの地に来た時、ついてきた杖をここに突きさして大きくなったのが、境内にあるこの大クスなのだとか。ずっと昔から、人々の歴史を眺めてきた大楠。お寺自体が少し高い場所にあるので、暮らしや文化の移り変わりをみていくには、最適の場所だったのかもしれません。
名木伝承データベース / 基本情報
-
名称:善光寺のくす
-
樹種:クスノキ
-
状態:生存
-
樹齢:推定800年以上
-
樹高:24m
-
幹周り:6.4m
-
保護・指定:大阪府指定天然記念物
-
所在地: 大阪府八尾市垣内4丁目41
詳しくはこちら
兵庫県淡路市 妙勝寺「妙勝寺の大くすの木」
足利尊氏を逆転勝利に導いた
「妙に勝つ」寺の巨木
【謂れ】
この大くすの木は、兵庫県淡路市の妙勝寺にあります。楠木正成と新田義貞に敗れて京を追われた足利尊氏が、九州に落ちのびる途中に立ち寄った場所だといわれ、 後醍醐天皇側近の北畠顕家に追い詰められた尊氏が、「妙勝」の名にすがり太刀一振をこの寺に奉納、必勝祈願すると、尊氏の軍はその後100日足らずで形勢逆転。 その後、京を制圧し、室町幕府の礎を築きました。
このくすの木の樹形は、1336年、参詣した足利尊氏の家来が、樟(クスノキ)を楠木正成として切りつけたため、このような形になったとも言われています。 「妙に勝つ寺」にあやかり、この名木から、勝ち運をもらってはいかがでしょうか。
名木伝承データベース / 基本情報
-
名称:妙勝寺の大クスノキ
-
樹種:クスノキ
-
状態:生存
-
樹齢:推定600年以上
-
樹高:26m
-
幹周り:7.5m
-
保護・指定:兵庫県指定天然記念物
-
所在地: 兵庫県淡路市釜口1163
詳しくはこちら
奈良県桜井市 大神神社「巳の神杉」
三輪の地に伝わる蛇伝説
大物主大神の正体は小さな蛇
【謂れ】
大神神社の「大神」は「おおみわ」と読み、「みわ」は三輪のことを指し、 三輪山をご神体とした神社ですが、奈良の三輪あたりには自然崇拝の原型が多く残り、その伝承のうちの1つが、蛇伝説です。
日本書紀に記された物語は、崇神天皇の御代に神意を伝える巫女、倭迹迹日百襲姫(やまとととびももそひめ)が大物主大神(おおものぬしのおおかみ)の妻となりますが、大物主大神の正体は小さな蛇だったという話。現在も大神神社で蛇は「巳(み)さん」と親しみを込めて呼ばれており、この神杉の洞に「白い巳さん」が住んでいたようです。 蛇は卵の丸飲みが好きということで、この神杉の前には卵がお供えされています。
名木伝承データベース / 基本情報
-
名称:大神神社の巳の神杉
-
樹種:スギ
-
状態:生存
-
樹齢:推定500年以上
-
樹高:不明
-
幹周り:不明
-
保護・指定:無
-
所在地: 奈良県桜井市三輪1422
詳しくはこちら
最新記事