2024.05.02
木の神・植樹神の神社に伝わる俣くぐりの御神木
【うちの御神木】
伊太祁曽神社/和歌山県和歌山市
伊太祁曽神社DATA
名称: 伊太祁曽 (いたきそ) 神社
所在地: 〒640-0361 和歌山市伊太祈曽558
アクセス: 和歌山電鐵貴志川線「伊太祈曽駅」
から徒歩5分
営業時間: 9:00-17:00 (参拝随時)
御祭神: 五十猛命 (いたけるのみこと)
HP
伊太祁曽神社の御祭神は、木の神として祀られる五十猛命(いたけるのみこと)。『日本書紀』には、多くの樹木の種を持って我が国に樹木を植えて廻り、緑豊かな国土を形成した神様であると記されています。国中を樹木で満たしたのち、最終的に紀伊国にご鎮座されたことが伊太祁曽神社の始まりです。
かつて伊太祁曽神社の社務所の前には、樹齢1000年といわれる御神木の大杉がそびえていました。しかし、1962(昭和37)年の落雷により炎上。しばらくは生きていたようですが、やがて枯れてしまい伐採されました。不思議なことに、燃え上がった際、スギの外側が燃え残り煙突状になり、自然に人がくぐることができる穴ができました。御神木である樹木が自然にかたちを変えたそのすがたが、いつしか『古事記』の神話が現代に甦ったものとして「厄難除け木の俣くぐり」と称されるようになりました。
古事記の神話とは、「大屋毘古神(おほやびこのかみ)」 が「大国主神(おおくにぬしのかみ)」を木の俣をくぐらせて災難から救ったという物語。この「大屋毘古神」は、伊太祁曽神社の御祭神で木の神さまである「五十猛命」と同一神とされています。『古事記』では、五十猛命は因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)の続きの部分で「大屋毘古神」の神名で登場します。
『兎を助けヤガミヒメと結ばれて幸せになった大国主神は、八十神(やそがみ)たちから嫉妬され、命を脅かすような様々な嫌がらせを受けていました。心配した母神の刺国若姫(さしくにわかひめ)は、紀伊国の大屋毘古神の元へと向かうよう大国主神に助言します。事情を聴いた大屋毘古神は、大国主神をうまく木の俣に潜らせ八十神たちから逃し、無事に根之堅洲国(ねのかたすくに)の須佐之男命(すさのおのみこと)の元へと向かわせました。こうして生命を助けられた大国主神は出雲国へ帰り、国造りを始めることができました』
落雷により、あたかも神話「木の俣くぐり」のように姿を変えた御神木。その古幹は割拝殿内に保存されており、この穴をくぐると大屋毘古神の御神徳により災難から逃れられると伝えられています。 炎上したスギがあった場所には現在、御神木の一部と新たに植えられた若杉があり、かつての御神木の存在を伝え続けています。
禰宜さんからひとこと
まず本殿にお参りして、災難除けの祈願をしてから木の俣をくぐってください。 注連縄の紙垂のついている方から入り、向こう側へ出ます。靴を脱いでくぐって下さい。 木の中で立ち上がると五十猛命の御神徳の大きさが感じられると思います。 ご希望の方には、木の俣くぐり体験証明証を授与所で発行しています。(初穂料100円) また、木の俣くぐりのお話を書いた絵本も授与所で頒布していますので、手に取ってみてくださいね。
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